灰汁洗い、染み抜きに使用される主な薬品 / 大阪 羽曳野【白木灰汁洗い 洗い屋 理究】
木部の汚染:酸、アルカリ、酸化 還元漂白
CHEMICALS
日焼け、雨染み、カビ…繊維質に入り込んだシミの除去には専門的な薬品とその知識が必要です。当店では前処理、下洗いを徹底する事で薬品の使用を極限までセーブしています。
灰汁洗いによる雨染みの変化
酸類
蓚酸
水染み、鉄錆、タンニン染みの除去、過マン戻し、銀灰色化した木地の復元等。
酸洗いの主剤であるが腐食性のため濯ぎに注意。
標準使用濃度5%。還元漂白剤。
酸類
燐酸
新築物件の手垢落としからアルカリの中和まで用途が広く、酸洗いの主剤としての使用も多い。
アルカリ類
炭酸ナトリウム
過酸化水素と併用、反応促進。
酸化漂白剤
過酸化水素
弱酸性。アルカリ剤を加えることで分解が進み漂白作用が向上する。
カタラーゼ(酵素、ヘムタンパク質の一種)と反応し分解するため、カビの多い外装木部では連続して発泡し、窓枠を除く室内木部では発泡は僅かである。
灰汁洗いで濃度2%以下はメリットがほぼ無く、濃度2%以上で緩やかな漂白が進む。
併用するアルカリ剤に依存するが、35%過酸化水素15倍希釈程度であれば、不意な脱色が無く自然な色味で上がりやすい。
酸化漂白剤
過炭酸ナトリウム
過酸化水素と炭酸ナトリウムを反応させた塩。炭酸ナトリウムを含むためアルカリ剤不要。過酸化水素の反応促進剤としても使用する。
酸化漂白剤
過マンガン酸カリウム
アク染み、カビの除去。強力な酸化剤で塗布後に分解し茶褐色(二酸化マンガン)に染まる。二酸化マンガンによる変色は還元剤で復元する。
過マン酸(1%水溶液)を1液、蓚酸(5%水溶液)を2液で考えれば分かりやすい。
酸化漂白剤
亜塩素酸ナトリウム(シルブライト)
酸焼け、カビの除去。単体での使用の他、塩素系の処理で黄色味が強くでる場合に過酸化水素と混合して使用する。濃度5%~。
酸化漂白剤
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム
亜塩素酸で抜け難いカビ、ブルーステインの除去(10%水溶液)。過剰漂白に注意。
酸類
塩酸
PH1.6。発煙性と強い腐食性の強酸。黒ずんだアルカリ焼けの除去等。
酸類
ホウ酸
アルカリの中和(北野大 秋草学園短期大学学長の随想に記述があります)。
酸類
酢酸(氷酢酸)
アルカリの中和。塩素系漂白剤に滴下し酸化作用、ハイドロ、ロンガに滴下し還元作用の促進。揮発性。強い刺激臭。
酸類
フッ化水素酸
アルカリ焼けの除去。蓚酸同様の効果が得られ後処理も簡単であるが、少量でも人体やその他建材に著しいダメージがある。
還元漂白剤。発煙性と強い腐食性。医薬用外毒物。
酸類
硫酸
燐酸、蓚酸等の水溶液に滴下しPH調整に使用する。過酸化水素主体の洗いの普及で使用される事が少なくなった。
強い腐食性。
還元漂白剤
次亜硫酸ナトリウム(ハイドロサルファイト)
中性に近い弱酸性で、より酸性に傾ける事で還元作用が向上する。
還元漂白剤
ロンガリット
ハイドロ同様、酸性に傾ける事で強い還元力を発揮する。
ロンガリットの水溶液に燐酸を加えて酸洗い、フッ酸を合わせて染み抜きに使用する。
アルカリ類
水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)
PH12(0.05wt.%) 極めて強いアルカリ性を示し、皮脂やアク、染料まで溶かし出す。灰汁洗いの主剤として希薄水溶液で使用する。
アルカリ類
アンモニア水
単体でアク染み抜き。過酸化水素と混合して漂白作用の促進。
揮発性で残留せず、希薄水溶液であればアルカリ焼けのリスクも少ない。強い刺激臭。